介助犬とは?
介助犬とは手足の不自由な人の代わりとなって、
日常生活をサポートするために訓練された犬のこと。
介助犬は他のペットとは異なり、人混みの中でも落ち着いて行動し、
交通機関もおとなしく乗ることができるように育てられています。
また体や口を器用に使うことで、
物を取る・椅子を動かす・ドアを開ける・ボタンを押す、といった日常で行う簡単な作業をすることができます。
介助犬を使用する人(パートナー)は、介助犬をとても大切にしています。
それは日常生活のサポートをしてもらうから…だけではなく、
一緒に行動し喜びを共有してくれる存在として、
大切な家族のように思って接しているからです。
介助犬とパートナーは信頼関係があって成り立っています。
なぜ介助犬への指示は英語なのか?
介助犬が自分の判断で勝手に動く、ということはなく、
パートナーの出す指示に従って行動するのが基本です。
その指示はすべて英語で行います。
何か達成したときに褒める言葉も「goo job!(グッジョブ)」と英語です。
なぜ英語なのでしょうか?
これは、日本語だと犬が混乱してしまうからです。
例えば座ってほしいとき、
英語では「sit(シット)」という言葉しかありませんが、
日本語では「座れ」「座って」「おすわり」「座りなさい」というように、
いくつもの言い方があって、犬に伝わらないことがあるのです。
地域によって異なる「方言」もありますね。
何かを棚にしまうとき、
標準語では「しまう」ですが、
関西圏ではときに「なおして」と言うことがあります。
介助犬に指示を与えるときには、
確実に意味が伝わる英語の方がやりやすい、というわけです。
どんな訓練をしているの?
介助犬になるためには、約1年間の訓練を積みます。
そして、パートナーの候補者が決まったら、
40日間以上の合同訓練が始まります。
この間、パートナーは訓練センターに宿泊し、犬との共同生活を送ります。
訓練で最初に行うのは、簡単な基礎訓練です。
「座れ」「伏せ」「待て」をそれぞれ英語で指示し、
犬が従うようになるまで訓練します。
ただ指示するだけではなく、
犬の世話を行い、一緒に遊び、楽しく訓練をし、
できたら精いっぱい褒めることを繰り返します。
犬とパートナー候補者がお互いに慣れてくると、
今度は介助動作訓練に入ります。
「go to 〇〇(〇〇へ行って)」「take 〇〇(〇〇を持ってきて)」という風に、
動作を指示します。
パートナーによって必要なサポートは当然異なりますから、
それを覚えてもらう、慣れてもらうのも訓練の一環です。
それらを無事にマスターし、
信頼関係がしっかり築けたとなれば、
晴れてパートナーとして認定されます。
介助犬にはなぜラブラドール・レトリバーが多いの?他の犬じゃダメなの?
まず、介助犬は椅子を動かしたり、
車椅子を動かしたり、パートナーの体を支える、
といった動作が必要なシーンがあります。
そのため、小型犬ではそうした動作が難しいことから、
介助犬には中型以上の大きさの犬が適しています。
その中でもラブラドール・レトリバーが最も介助犬に多い理由ですが、
一つは「ラブラドール・レトリバーが生来温厚で、介助動作が好きな犬である」ということです。
犬は犬種によって性格の傾向があります。
ラブラドール・レトリバーは特に人と何かをするのが好き。
褒めてもらった人のことを主人と認識し、
主人の指示に従って褒めてもらうことが何より嬉しいと思える性格なのです。
手足の不自由な人は個人によって必要となる介助がまったく異なるため、
「順応性の高さ」も介助犬にとっては重要な要素でしょう。
他に、「優しい・おとなしいイメージ」
のあるラブラドール・レトリバーは、
町中でも周囲の人に安心感を与える、というメリットもあります。